研究成果

成人自閉症者に特有の症状と関連脳機能ネットワークに、オキシトシン受容体遺伝子メチル化が関与していることを解明

2020-06-01

福井大学子どものこころの発達研究センターの西谷正太特命助教は、米国・エモリー大学エリザ・アンダーリ助教、アリーシャ・スミス准教授、ラリー・ヤング教授との共同研究により、成人自閉症者では、オキシトシン受容体のDNAの一部が、一般成人に比べ、より化学修飾(DNAメチル化)され、そのメチル化の程度が自閉症者特有の症状の強さと、それに関連する社会性ネットワークの脳機能の活動に関連していることを解明しました。従来、自閉症の症状は、遺伝子配列の違い(先天的)を中心に議論されてきましたが、今回、可逆性を持つメチル化(後天的)の程度が関連していたことを見出し、定説を超えた新しい概念を提唱しました。本研究成果は、2020年1月13日に英国科学誌Nature系「Neuropsychopharmacology(ニューロサイコファーマコロジー)」に掲載されました。

Andari E, Nishitani S, Kaundinya G, Caceres G, Ousley O, Morrier M, Smith AK, Cubells JF, Young LJ, Associations between DNA methylation of OXTR gene, clinical symptoms and brain functional connectivity in Autism Spectrum Disorder, Neuropsychopharmacology, Jun;45(7):1150-1158 2020. doi: 10.1038/s41386-020-0610-6.