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研究案内 脳画像研究

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研究概要

自閉スペクトラム症(ASD)診療・研究の歴史は、レオ・カナーが1943年に「通常のやり方で他人との関係を築けない子ども達」の報告をしたことに始まります。ウィングが、ASDの中核症状として社会性の障害・コミュニケーションの障害・こだわりのいわゆる「三つ組」を提唱し、2013年改定の精神障害の診断と統計マニュアル(DSM−5)では、「三つ組」は「社会性とコミュニケーションの欠如」、「限定的・反復的な興味や行動」の2つのドメインにまとめられ、カテゴリカルな診断が行われています。

ASD者の剖検脳組織では、定型発達者と比べてミニカラムと呼ばれる神経細胞のユニットの密度が濃いことが判明し、ASDは先天性の脳発達異常であることがわかってきました。さらに、近年、ASD者の脳では炎症が起っている、との報告がなされています。我々は、神経炎症に着目し、ASD者の脳でどのようなことがおこっているのかを研究しています[神経炎症研究]

ASDの発症には遺伝的要因がきわめて高いことがわかっており、シナプス関連遺伝子を含む多くの疾患関連遺伝子が報告されているますが、それだけではなく、胎児期や周産期の問題など、環境的な要因が重なって発症に関連していると考えられています。

ASD臨床研究におけるトレンドは、①ASDを神経回路疾患として捉えること、②ASDをカテゴリカルに捉えるのではなくて、個々の子供の特性を認知機能や感覚処理等の脳機能に対応したディメンジョンにおいて判定すること、③ASDの発達軌跡・予後研究です。我々は、運動機能の拙劣さ、また感覚過敏性に対応した脳回路異常を解析する研究を行なっており[画像研究]、ASDが神経回路疾患であるという定説に合致した結果を得ています。カナーが報告した最初のASD患者の追跡でも、ASD特性は必ずしも社会的予後が不良とは限らないことが示唆されていますが、我々の後方視的な研究でも、家庭内の問題は自閉症度を強め早期の介入は自閉症度を薄めることが分かりました[発達障害研究]。我々は、このような視点から、発達障がい特性を持つ子どもの早期発見と家族・親支援、さらに介入法の客観的妥当性の判定法の開発にも力を入れておいます[療育介入研究]

また、ASD児は高率に睡眠障害を合併し、睡眠に介入することによって、多くの例で行動の改善が認められます。我々は睡眠が発達にどのように影響するのか、どのような睡眠がよいのかを研究しています[睡眠研究]